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はじまりは154年前、あじさいの花酵母で醸した町の酒

瀬戸酒造店

Restart 154年の歴史の真相とは

のどかな田園風景、水路に流れる水の音。

美しい景色、水も美味しく、空気も美味しい。

神奈川県足柄上郡に位置する開成町は丹沢の山に囲まれ、瀬戸酒造店一帯はかつて酒田村と呼ばれ酒米の栽培が盛んな地域だった。

瀬戸酒造店は慶応元年1865年創業の酒蔵。1980年に自家醸造を中断してしまいましたが、2018年に醸造を再びはじめた。再始動へと導いたのは、この町の美しい田園風景です。四季折々の表情を見せてくれる田んぼ、水路のせせらぎ、人の心をほぐすこの風景から生まれる酒は、どんな味だろう。

そんな想いから再建は始まったのです。

幕末から続いた酒蔵が38年も閉ざしていたと聞いて、まず疑問を抱く方は多いでしょう。現在の蔵元は代々受け継いできた瀬戸家の血筋ではない。瀬戸酒造店は後継者不在で存続にさらされていた。再建の仕掛け人は酒造りのことはもちろん初めてと言う、地域おこしのコンサルタント会社である『株式会社オリエンタルコンサルタンツ』なのだ。

酒造りの技術も設備も坂路も販路もない状態。色々な問題に晒された中で、現在の蔵元であるオリエンタルコンサルタンツ所属の森社長は全てを請け負って再建すると覚悟を決め、ゼロからスタートすることとなった。幕末より続いた酒蔵はこうして第二ステージの幕を開けることとなる。

凛とした酒蔵の佇まい

瀬戸酒造店の周りは美しい田園風景に囲まれ稲穂が四季折々美しく彩っていく。

清らかな水が民家の横を流れる音、六月には紫陽花が咲き乱れ、田園風景に華やかな色がつく。

近所には300年の歴史を持つこの地域の名主をつとめてきた瀬戸家のお屋敷も開成町の指定重要文化財として残されている。

瀬戸酒造店の佇まいも立派なもので、その当時栄えていた趣が残っている。

敷地内の庭には川が流れ、縁側にはかつて酒造りに使っていた道具が並べられ、美術館のように触れる事ができる。

開成町というこの町に入った瞬間、タイムスリップしたような景色と空間に包まれる。

ここは今もなお、昔の時代が生き続けている。

新世代の酒蔵と杜氏

瀬戸酒造店を再建するにあたり、森社長は、自分自身お酒も飲めない体質でありながら、酒造りを一から勉強し事業計画を進めていた。そんな中で一番大事な杜氏が中々見つからなかった。全国の杜氏組合に問い合わせても見つからず、ダメもとで出していたハローワークの求人に、たった一人だけ応じてくれた人物が小林幸雄杜氏である。

森社長と小林杜氏の出逢いは、瀬戸酒造店再建の大きな原動力となる。

日本酒は世界のお酒の中で最も人の手で作る工程が多く、日本酒造りに秘められた技がある。その歴史は2000~2500年前と言われている。瀬戸酒造は全国でも中々見る事のできない、新しい酒蔵。酒が作られる設備も全て、まだ新しく美しい。

日本酒の原料は米、米麹、水。瀬戸酒造店の酒造りは、それぞれに拘りを持っている。米は酒造好適米の最高品質である山田錦、雄町を中心に、足柄平野産の酒造好適米を使用している。米糀は箱麹法による丁寧な製麹。水は敷地内の地下80mから汲み上げた井戸水を使用している。拘りの原料を最新の設備と伝統の技で釀し、バランスのよい酒を目指している。

開成町の水はバランスのよい酒に適した素晴らしい水であった。

<左>稲穂の色のように美しい色。ビン詰め前の生貯蔵<中>麹室

日本酒会を騒ぎ立てる新参者

蔵元の敷地内入り口に瀬戸酒造店はある。全てのラインナップが揃っておりここで試飲しながら購入できるシステム。ここへ訪れる人は開成町の方、近隣の方、遠方の方と様々。日本酒の蔵元に今日の料理に合う日本酒を選びに来るなんて、なんと贅沢なことでしょう。

一つ一つ説明を聞きながら、ゆっくりと選ぶ事もできる。現在14種類の日本酒は多種多様。冬のしんしんと降り注ぐ雪の中、鍋を突っつく様なイメージでつくられた酒、ホワイトソースやチーズの洋風なお料理にも合う酒など本来の日本酒の幅を広げ、楽しむ事ができる。ネーミングやジャケ買いする人もいると言う、なんともおしゃれな日本酒たちは、

伝統を受け継いだ代表銘柄「酒田錦」

全量小仕込みで様々な酵母を使用している「セトイチ」

開成町の象徴であるあじさいの花から抽出した酵母で醸した「あしがり郷」

それぞれが、そのシーンによって選べる素晴らしい日本酒。

そして再建一年目にして、フランスで開催されている日本酒のコンクール「KuraMaster2019」でセトイチ『音も無く』がプラチナ賞受賞とTOP5受賞すると言う素晴らしい評価を得たのです。

日本酒といえば東北・北陸が有名である中、神奈川の無名の酒蔵が受賞しフランスと日本を驚かせる事となった。このコンクールの為に一年間、酒について考え作る酒蔵もある中で、瀬戸酒造店はすんなりと受賞する事ができたわけは、日本酒を作るための新しい考えと再建するにあたり集まったチーム、一人一人の気持ちが一つなのだと感じた。

瀬戸酒造店の横を流れる水のせせらぎが風情をもたらす

エチケットもネーミングもついつい買ってしまう素敵なデザイン

瀬戸酒造の誇りとなる受賞した賞の数々

日本酒に大切なのは、町の美しい田園風景であるお米と清らかな水

瀬戸酒造店の魅力は数え切れないほどある。

ほっと一息つくこの田園風景と水の音。開成町の美しい自然と豊かな資源。

そして幕末から続くこの町の日本酒。

森社長はトクゥトクゥで夕暮れの開成町をドライブしながら、「ここは月と風がとても印象に残る土地なのです。」と話してくれた。その言葉にこの町を愛する気持ちが強く響いた。その地域の気候風土にあった豊かな食文化は、きっとどこにでもある。

開成町の魅力はそんな昔から変わらないものを、この町の人が大切に大切に守ってきた。

『瀬戸酒造店の日本酒を通じて、開成町の魅力をもっと多くの人に知ってもらいたい。この町ごとファンになってもらいたい。』と心を込めている。

トクゥトクゥは開成町の駅まで送迎してくれる。この景色と風が気持ちいい

情緒あふれる縁側では角打ちできる。季節によっては蛍を見ながら。

瀬戸酒造店

神奈川県足柄上郡開成町金井島17

0465-82-0055

Open 10:00-19:00

Close Mon-Wed

 

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