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キャンパーの心を掴むアウトドアギアブランド

38explore

空前のアウトドア・キャンプブーム真っ只中。

コロナ禍で海外に出かけることが難しくなり、それは今も変わっていない。

むしろ、国内での楽しみを皆が見出した。その流れが、今のアウトドアブーム、キャンプブームにつながる。

多くの人が手軽にキャンプを楽しめるように、ホームセンターや専門店では多種多様なキャンプギアが販売されている。

キャンプそのものを楽しめるようになると、次にわくわくするのは“ギア探し”という人も多いのではないだろうか。

見た目の美しさ、実用性、ブランド・・・選ぶ基準は人それぞれだ。

キャンプで使うイメージをしながらギアを探すことも、アウトドアの醍醐味のひとつだろう。

ブランドの根底にあるのは“ものづくり”を楽しむマインド

情報に敏感なキャンパーに絶大な人気を誇るアウトドアブランド「38explore(サーティーエイト・エクスプロー)」は、インテリアデザイナーを生業とされていた宮崎秀仁氏によって立ち上げられた、アウトドアギアブランド。

代表作「38パレット」をはじめ、最近登場したLEDランタン「38灯(みやび)」など、販売するプロダクトは抽選販売を行うも即完売と、絶大な支持を集めている。

幼少のときから絵を描いたり、楽器を弾くことが好きで、高校はデザイン科があるところへ進学したくらい「ものづくりが好きだった」という宮崎氏。

設計事務所、電気工事、大工を経験したことで、現在のインテリアデザインでも自分で監督をして、場合によっては自分で手も加える、というスタイルを確立。それが「38explore」の活動にも生かされているようだ。

「もっとこうだったら」をカタチに。

宮崎氏がアウトドアの魅力を知ったのは、小学校5年生のとき。恩師に連れていってもらった槍ヶ岳登山は、今も登山の際にそのときの匂いを思い出すほど彼に強烈なインパクトを残したという。

 

 

サーフトリップなど、目的プラスαで楽しむキャンプを趣味にしていた20代を経て、再び濃密にアウトドアに触れ出したのは40代。

このときに実感したギアの物足りなさが、現在の活動の原点になっている。

宮崎氏がアウトドアを再度楽しむようになった2015年は、彼がサーフトリップを楽しんでいた時代とは変わり、ちょうど国内でおしゃれなキャンプスタイルが広がりはじめたタイミング。宮崎氏自身も、昔とは違いがあるおしゃれなキャンプを仲間と楽しむ中で、ギアの使い心地や細かい部分に目がいくようになったことが「38explore」誕生のきっかけだったとのこと。

所有欲を満たしてくれるギアが見つからないと、ホームセンターで買ってきたギアに色を塗るなど、簡単なカスタムを施していたという宮崎氏。しかしキャンプを重ねる度に「もっとこうだったら使いやすいのに」という想いと、元来の“ものづくり欲”が高まり、電気工事や大工で培った技術を駆使し、本格的なギアのカスタムと自作を始めたという。

仕事の必需品から生まれた、代表作「38パレット」

彼の代表作「38パレット」は、本業のインテリアの仕事で、現場の写真を撮るために持ち歩いていた三脚に天板をつけ、現場での作業用テーブルとして使っていた“三脚テーブル”から着想を得ている。

キャンプ場で知り合った人と立ち話をするときや、簡単な朝食をつくるときにも活用できるかもしれない、という考えから、仕事上で使っていた三脚テーブルをキャンプに持って行き始めたところ、周りから自分も作ってほしいという声が相次ぎ「38パレット」の誕生に繋がったのだ。

今回、宮崎氏に「38パレット」のデザインについて聞いてみると、意外にも「僕が作るギアって、装飾の意味でのデザインはほぼしていないんです。」との言葉が返ってきた。

それは彼が考えるデザインは、“装飾”ではなく、“本質の実現”だから。

説明できない装飾や線は存在しておらず、自作したギアに存在している線や装飾は何のためにあるのか、すべて説明ができる。

「自分が必要だと思う要素を組み上げると、ある程度のカタチは完成している」

と宮崎氏。

例えば「38パレット」は、

・立って作業や交流ができる三脚テーブルにしたい

・シェルコン(シェルフ・コンテナ)のフタにもしたい

・バレットだけでも自立させたい

この3つが絶対に外せない要素で、それぞれきちんと実現させた上でカタチになっているのだ。

こういった本質を追求する宮崎氏のものづくりへの考え方こそが「38explore」が人気である理由なのではないだろうか。

会心のディテールに気づいてもらえるのは、
デザイナーの本望

「ここが会心のディテールだ!」と自分がこだわった部分に、共感してくれる人がいるのがとてもうれしい、と彼は言う。例えば「38パレット」で言うと、車に積むときに、シェルコンの蓋として使っても、揺れたときに金具がカチャカチャ音を立てないように工夫してあるところ。

こういう細かい部分に対してSNSなどで反応をもらえることが、デザイナーの本望だと語る。

 

こういう細かい部分に対してSNSなどで反応をもらえることが、デザイナーの本望だと語る。

新商品の「38灯(みやび)」でも、彼ならではのこだわりが表現されている。

例えば、暗闇でランタンを点けた瞬間、急に明るくなり驚いた経験から、点灯の順番は「Low」→「High」→「Off」に。

筐体の上下にはカメラネジを採用し、三脚をはじめとしたカメラアクセサリーに取り付けることが可能になっている。

そして充電池は入手しやすく、取り替えやすい定番の18650リチウムイオン電池を使用し、タイプCポートで充電できるので、手持ちのケーブルが活用できる仕様。

さらに上下でリバーシブル仕様にもなっているので、ひっくり返すと2種類の光り方を楽しめる。また、細部ではあるが、カメラストラップ用に使われているフック(別売)は倒れにくく、カチャカチャと音が出ないように工夫してある。

余計な装飾はなくシンプルな見た目だが、会心のディテールがこれでもかと詰まっている。

いつかは生み出したい“定番”

今後の活動も楽しみな「38explore」だが、これからのリリース予定を聞くと、まだ開発中ではあるものの、アウトドア用の三脚を検討中とのこと。また、将来的には「定番を作りたい」という大きな目標があるようだ。

宮崎氏いわく、「自分が大事にしている本質的なデザインをブラッシュアップしていき、時代に左右されない、一生飽きずに使えるモノを作りたい」とのこと。何年経っても色褪せない、例えばジーンズで言えば501のような存在のものを生み出せたら、これ以上のことはないと語ってくれた。

38 explore

https://www.38explore.com/

https://www.instagram.com/38explore/

主宰/宮崎秀仁(通称/ミヤさん)

1973年生まれ。

本業ではインテリアデザイナーとして、店舗内装の設計や施工を手がけつつ、アウトドアガレージブランド「38 explore(サーティーエイト・エクスプロー)」の主宰を務める。最近は山にあるキャンプ場でとにかくリラックスして過ごすのが好きとのこと。おすすめのキャンプ場は、同志村にある椿荘オートキャンプ場雷鳥沢キャンプ場(富山)